Chap-14. Devuan を試用

2023-09

 最初に一言。2023-09 版ですが、ほとんど 2022-09 の Devuan 4.x と変わりません。良い意味で完成度が高い。
Devuan は 3.0 まではいまいちの部分がありました。wicd とか connman とか風変わりでイマイチ安定しないネットワーク管理 GUI ツールを使っていました。
最近は業界標準の NetworkManager になり動きも安定していて、操作もしやすいです。他にも全般的に安定性は 4.0 以降高い水準です。
なのでお試しをやってはみたものの新たに書くことはありません。これは良い意味です。



*2023-09 現在、使い方については以下の3つの視点で見ています。( Chap-26. 参照)

*セキュリティ上の視点では「セキュリティやバグのフィックスをいつ誰がやっているか?」の視点で見ています。(Chap-26-2. 参照)

以上を踏まえて、時点修正とともにこのチャプタを少しだけ書き直しました。DE は Xfce としています。今回はサーバインストールについては割愛・省略です。



Sec-1.インストール
Sec-2.日本語入力の設定等
Sec-3.インストール後、最初に試すこと
Sec-4.Windows 代替(ATW)としての利用
Sec-5.全体を通しての印象


Sec-1.インストール

 インストーラがかなり古めです。Debian の一世代前のインストーラです。
なので、できることは概ね Debian と同じ。CUI サーバへのインストールは簡単です。
できないことも概ね同じ、笑。
Debian のインストーラはハードウェアの認識など、やや遅れている感じです。癖のあるノート PC へのインストールは苦労するかもしれません。
AMD 3000 シリーズの内蔵 GPU で BIOS 互換モードだとインストーラが立ち上がりません。これも Debian と同じです。
なお、お試しは AMD ryzen 3400G + A320 マザボ + 古めの Geforce(GT-730) グラボ、という構成です。最近グラボを使うのはこんな時だけです。
イーサネットは intel 1000-CT です。
DE は Xfce を使いました。インストール後はグラボを外して動作確認・お試しをしています。



Sec-2.日本語入力の設定等

 このディストリは最初から日本語入力が完備しています。
ロケールを日本に設定してインストールした場合は、デフォルトでは uim-mozc がインストールされています。従来どおりです。
uim-mozc のアイコンが画面上に現れるのですが、それが邪魔なら fcitx-mozc とか ibus-mozc に変える手もあります。単に
# apt install fcitx-mozc 等又は # apt install ibus-mozc 等として、インストール後にリブートするだけです。入力補助に必要な gtk のとか、mozc-utils-gui とかは自分で必要に応じて入れてください。
uim-mozc、ibus-mozc の設定変更(ショートカットキー割付の変更)については Cha-27.を見てください。fcitx-mozc は、普通は設定をいじらないと思います。

もしもインストールした IM にうまく切り替わらない場合は、im-config を使います。簡単に切り替え(指定)できます。

リポ (/etc/apt/sources.list) については contrib をインストール後に書き足しました。書き足さないと libdvd-pkg が入らないと思います。




Sec-3.インストール後、最初に試すこと

 以下のチェック項目はいずれもUNIX 系システムとして管理する上で、私にとって必須の項目です。

基本的に Debian without systemd なので、試すほど Debian と違いはないのですが、一応やります、笑。
なお、前には CUI (server)インストールも試しました。調子良かったです。今回はサーバインストールを省略します。
以下、順に試していきます。



1.と2. IPアドレスとリゾルバーの設定

 ネットワーク管理用 GUI は NetworkManager です。CUI での nmcli も使えます。
NetworkManager はほぼ業界標準みたいなものです。なので管理手法等の説明省略です。




3. /etc/rc.local は使えるか?

 最初から使える状態になっています。



4. パケットフィルタは普通に使えるか?

パケットフィルタは問題なく使えます。オケです。nftables 調子良いです。




5. デーモンのコントロール

 init システムにsysvinit を選ぶと、デーモンのコントロールは以下のとおりです。(他の init を選んだらどうなるかは、試していません)

# insserv -d hogehoge   (hogehoge サービスの開始  default の意味らしい) リブートが必要。
# insserv -r hogehoge   (hogehoge サービスを止める  remove の意味らしい) リブートしなくても良さそう。
# insserv -s  (サービスの設定の一覧を見る)
 systemd の方がリブートせずにデーモン管理できるので調子良いです。その点だけは systemd に軍配が上がります。
思いっきり余談ですが、systemd は余計なことばかりするので評判が悪い。所詮は init system なのでそれ以上のことはしないでほしい。余計なことをするからギークや上級者達の中で評判が悪くなるのです。立ち上げとデーモン管理だけにとどめておいて欲しい。resolver とか systemd-timesyncd とかやらなくても良いです。
init system 系がいくら頑張ったところでOS本体の性能が上がるわけじゃありません。所詮 init system です。それ以上でもそれ以下でもありません。




6. Apache、postfix、guile、lua は簡単にコンパイル・インストールできるか?

 全部まとめて、書いておきます。
Apache、Postfix を自分でコンパイル・インストールしたいのはサーバの用途です。
なにかサーバーに工夫を凝らすときはコンパイル必須です。
guile、lua はプログラミングを楽しむ時の話です。単に、最新のものを 「使ってみたい」 というだけの理由です。
詳細はChap-7. に示す Debian と同じです。全部問題なくコンパイル・インストール出来ます。





7. シリアル回線使ってルータ管理できるか?

cu コマンドを使えば、簡単にシリアル回線でルータが管理できます。オケです。

$ cu -l /dev/ttyS0
$ cu -l /dev/ttyUSB0 

こんな感じです。-s 9600 などと速度指定する必要はありません。ユーザは /etc/group の dialout グループに入れておきます。cu は # apt install cu で入ります。




*** 全般的に調子良いです。問題ありません。***






Sec-4.Windows 代替(ATW)としての利用

 Windows 代替(ATW)として使いやすいかどうか、私の印象を少しだけ書いておきます。以下の記述はほとんど Chap-13. のコピーです、笑。

プリンター、スキャナ
 基本的に Debian と同じです。良好です。

ブラウザ
 デフォルトで Firefox が入ってます。
この Firefox で問題なくアマゾンプライムの映画が視聴出来ます。
flatpak を利用すると、そっちからも firefox、Chromium、Google-chrome がインストールできます。
あるいは Google のサイトから直接ダウンロードして Google-chrome インストールすることも出来ます。
Debinan 系だとブラウザは各種選び放題です。
Flatpak の利用については、Chap-31.に書いています。

メーラ
 デフォルトでは何も入っていません。パッケージにいろいろあるので、sylpheed なり evolution なり好みに応じてどうぞ。

オフィス
 Libre-Office が使えます。全然問題なしです。

画像ソフト
 Gimp が使えます。問題なく動きます。十分良好です。

市販 DVD の再生
 Devuan のリポから vlc libdvd-pkg を入れれば再生出来ます。
flatpak から vlc を入れても再生出来ます。
個別に libdvdcss ってのをダウンロードして入れれば Devuan のリポから入れた vlc で再生出来ます。いろんなやり方があります。
関連ですが、brasero も動きます。

パッケージのアップデート・インストール
 DEが Xfce の場合、synaptic(パッケージインストーラ)という GUI インストーラがパッケージ追加もアップデートも担当します。
あるいはコマンドで apt を使ってもいけます。
パッケージを入れるなら # apt install hoge
更新なら # apt update と # apt upgrade とするだけです。


***以上です。調子良いです。***





Sec-5.全体を通しての印象

 このセクションは私の独断的、個人的な印象です。

*まず使い方の3つの視点から見た評価です。
a. の利用について・・・・・・・以前試してとても良好でした。今回は試していません。
b. の利用について・・・・・・・全然問題なく、とても良好です。
c. の利用について・・・・・・・全般的に良好です。パッケージも十分にあります。

*次にセキュリティー上の視点からの評価ですが、これは基本的に Debian と同じ。
Debina-stable 派生の場合は Debian のセキュリティーパッチが流れてきます。なので、とても優秀と考えられます。


 総合的に見て、どうかです。
4.x 以降は完成度が高いです。今回の 5.0 もとても調子良いです。
systemd フリーが好みの人なら、MXLinux と並んで良い選択肢だと思います。

ただし、AMD CPU 利用 + BIOS 互換モードだと、内蔵 GPU はうまく扱えないと思います。BIOS 互換モードにするなら、少なくともインストールする時だけはグラボ必須です。グラボはインストール後に外せます。


 以前のチャプタは以下に保存しています。だいぶ古いし、意味ないと思いますが・・・
https://www.quinos.net/topice/topice.03.html  (一つ前)
https://www.quinos.net/topice/topice.02.html  (二つ前)
https://www.quinos.net/topice/topice.01.html  (三つ前)