Debian のお試しです。初稿 2018-11。
今回のは 2025-09:修正等。Debian-13.1 でのお試しです。
Unstable 版及び testing 版については、2年のサイクルのうち更新が止まる期間が半年前後あるため実利用の対象外と理解しています。
固定リリース版とローリングリリース版については、UNIX ギークっぽく使うなら(個人的には)固定リリースに限ると思っています。
そこらへんの説明は Chap-34. Sec-23. に書いています。
このため、Debian は下記 a)、b)、c) をすべて対象にできます。ただし a) についてはこれまでも触れてきて、あまり変化がないので(良い意味で)記述は省略します。
現在、使い方からの視点とセキュリティー上の視点の2つからディストリを見ています。
使い方からの視点は以下のとおりです。3つの使い方パターンで見ています。
また、セキュリティー上の視点(一般論)についてはChap-26-2.にまとめています。
Sec-1.インストール
Sec-2.日本語入力の設定
Sec-3.インストール後、最初に試すこと
Sec-4.Windows 代替(ATW)としての利用
Sec-5.全体を通しての印象
使用する機器はマザーGigabyte B450 もの。CPU は ryzen 3400G、イーサカードは intel 1000CT、GPU は AMD 内蔵のヤツです。
特に書くことは無いです。Xfce を使いました。例によって、インストール説明は省略。
最初から日本語入力が完備しています。Xfce を使うと入っているのは uim-mozc です。
しかし flatpak 版の evolution を入れるとうまく日本語入力できませんでした。多分、flatpak 側の問題。uim フレームワークに対応していない。
このため ibus-mozc に変更しました。それで flatpak 版の evolution にも日本語入力できるようになりました。
ibus-mozc の設定変更(ショートカットキー割付の変更)については Cha-27.を見てください。割付の変更をやらないとものすごく使いづらいと思います。
以下のチェック項目はいずれもUNIXシステムとして管理する上で、私にとって必須の項目です。
以下、順に試していきます。
1.と2. IPアドレスとリゾルバーの設定
Xfce デスクトップ版を試したので NetworkManager です。管理方法は Chap-19. をご覧ください。
3. /etc/rc.local は使えるか?
Debian-11、Debian-10 と同じです。
簡単に使えるか、という質問に対しては微妙な答えです。ちょっとややこしいやり方。
でも、一応できます。以下のサイトを見て、そのとおりにやったら /etc/rc.local が無事に動きました。
"Linux : How to add rc.local in Debian 9" https://www.itechlounge.net/2017/10/linux-how-to-add-rc-local-in-debian-9/
この中で、以下のファイルを作れと書いてあります。
/etc/systemd/system/rc-local.service (file) ---------------- [Unit] Description=/etc/rc.local ConditionPathExists=/etc/rc.local [Service] Type=forking ExecStart=/etc/rc.local start TimeoutSec=0 StandardOutput=tty RemainAfterExit=yes SysVStartPriority=99 [Install] WantedBy=multi-user.target -----------------
要するに上のファイルは、systemd 流儀の管理ファイルです(Unit)。更に、rc.local を以下のように仮りおきします。
/etc/rc.local ---------------- #!/bin/sh -e # # # exit 0 #
これでモードを755にしておいて、以下のように自動スタートを有効化します。
# systemctl enable rc-local.service
その後、スタートさせます。これはOSリブートせずに、現状でスタート。
# systemctl start rc-local.service
で、実際にうまくいっているか、status を調べます。
(check status) # systemctl status rc-local.service
きっと、有効だという表示がでます。これで reboot すれば、無事に /etc/rc.local が動くはずなので、後は自分が動かしたいもの(きっと、外部からソースを持ってきて野良コンパイル・インストールしたデーモン、笑)を /etc/rc.local の中に書き込むだけです。
4. パケットフィルタは普通に使えるか?
パケットフィルタは問題なく使えます。オケです。nftables 調子良いです。
5. デーモンのコントロール
デーモンのコントロールは以下のとおりです。
# systemctl enable hogehoge (hogehoge サービスの有効化) # systemctl start hogehoge (hogehoge サービスの開始) # systemctl status hogehoge (hogehoge サービスの状態を見る) # systemctl disable hogehoge (hogehoge サービスの無効化) # systemctl stop hogehoge (hogehoge サービスを止める) # systemctl -l (動いているサービスの一覧を見る)
最初に systemd にふれたときはかなりの拒否反応をしてしまいました。慣れるとマアマアなんとかなります。
systemd はブートローダとデーモンコントロールだけに徹してくれれば、特に問題ないと思います。余計なことばかりやり過ぎるのでひんしゅくを買うのです。
systemd 派生のブートローダ(例えば、systeme とか言って)が登場して、ブートローダとデーモンコントロールだけやって後の機能を全部捨てれば、世間からもっと高く評価されるだろうと思います。
6. Nginx、postfix、guile、lua 等は簡単にコンパイル・インストールできるか?
全部まとめて、書いておきます。
Nginx、Postfix を自分でコンパイル・インストールしたいのは上記 a. の用途です。
Debian はセキュリティフィックスへの対応が良好なので、特にどうしても最新版をコンパイルして入れる必要は無いと思いますが・・・私の場合、諸々の理由で自分でコンパイルしています。
guile、lua は上記 b. の利用です。単に最新のものを 「使ってみたい」 というだけの理由です。
詳細はChap-7. にしめすとおりです。全部問題なくコンパイル・インストール出来ます。ただし Nginx については Chap-7. に上げたものに加えて libzip-dev が必要。
postfix の動作確認で mail コマンドを使うだろうと思います。s-nail が調子良く動きました。
mailutils-3.15.tar.gz (多分 GNU のソース)をダウンロードしてコンパイル・インストールしようとしましたが、こっちはうまく行きませんでした。s-nail が調子良かったのでンパイル不調については原因追求していません、笑。
注:Luaに関しては、インタープリターとして使うのみなら野良コンパイルしても大丈夫です。が、組み込みに使おうとするとシステムオリジナルのものとバッティングするようです。なので組み込み系で使うならシステムのパッケージ (liblua5.4-dev 等)を使ったほうが良さそうです。
7. シリアル回線使ってルータ管理できるか?
もともと以下のようなコムポート増設のカード(2つ加える)を使っています。
USB に刺すシリアルケーブルってのもあります。以下のようなヤツ。
最近使っているルータのシリアル回線はRJ端子です。余談ですが、これだとクロスケーブルとかストレートケーブルとか考えなくて良いので、便利です。
しかし Debian 12 で USB 版が調子悪かったので今回は USB 版は試しませんでした。今回試した Debian 13 で普通のシリアルポート増設版が調子良かったです。
8. CUI(サーバ)へのインストールや管理
今回、記述省略
Windows 代替(ATW)として使いやすいかどうか、私の印象を少しだけ書いておきます。つまり、冒頭に書いた c. の使い方。
プリンター、スキャナ
Wifi 経由でプリンタ(Epson-PX-048A)が使えます。
スキャナも wifi 経由で問題なく使えます。
ドライバーソフトについては Epson からダウンロードしたバイナリー版が調子良く動きます。
# apt install --no-install-recommends ./epson-inkjet-printer-escpr_1.8.6-1_amd64.deb
その一方で、これまで簡単にコンパイル・インストールできていたソース版が、うまくコンパイルできませんでした。バイナリー版がうまく動くので原因追求していません。
ブラウザ
デフォルトで Firefox-esr が入ってます。
この Firefox-esr で問題なくアマゾンプライムの映画が視聴出来ます。が、サイトによっては「このバージョンには対応していない」旨の表示が出て不調になります。
Debian の調子良く動く esr 版をバージョン番号で弾くのは、Debian の問題ではなくサイト側の不適切なウェブサイトの問題でしょう。しかしそんなことを言っていても解決しないので、ユーザ側で対応します、笑。
バージョン不適合問題の解消のために、firefox のサイトから直接バイナリー(txz パッケージになっている)をダウンロードして、インストールしました。そうすることでバージョン不適合問題は生じなくなりました。
https://www.firefox.com/en-US/browsers/desktop/linux/
こういった外部バイナリーを利用する場合、Xfce だとランチャー登録して使えるので便利です。そこは gnome より Xfce の方が使いやすい。
なお、サイト側の「firefox バージョン番号で弾く」という困った問題は、flatpak 版の firefox にしても解消するだろうと思います。
Yahooの動画の一部は user agent switcher ってのを入れると視聴出来るようになります。
更に動画への適応を求めるなら Google-chrome のインストールが良いと思います。
google-chrome も簡単にインストール出来ます。ゴーグルのサイトからパッケージをダウンロードして
# apt install ./google-chrome-stable_current_amd64.deb
などとするだけです。
メーラ
sylpheed のパッケージがあります。うまく動きます。flatpak から evolution も入ります。
sylpheed でも evolution でも迷惑メール対策は同様にできるので、個人的にはどっちでも可です。
deb パッケージ版ではなく flatpak 版 evolution 利用にしておくと、ディストリチェンジしたときバージョンが同一なので問題が生じにくいです。引っ越しが楽、笑。
オフィス
LibreOffice が使えます。調子良いです。
画像ソフト
Gimp がインストール出来ます。問題なく動きます。十分良好です。
パッケージのアップデート・インストール
パッケージのインストールは apt install で簡単です。
更新は apt update、apt upgrade で入れていくだけです。
以上です。
これだけのソフトウェアが動けば、私としては満点評価です。評価は人によるとは思いますが・・・
このセクションは私の独断的、個人的な評価です。
まず使い方の視点から見た評価です。
a. の利用について・・・・・・・今回評価対象外。Debian 12 でサーバ運用していますが調子良いです。
b. の利用について・・・・・・・基本的に良好です。
c. の利用について・・・・・・・基本的に良好です。
良くできています。特に問題は無いです。
次にセキュリティー上の視点からの評価です。stable 版は万全と言って良いと思います。Debian 監査チームがパッチを作って流しています。
Debian-stable、Ubuntu-LTS、Slackware-15 などのセキュリティ対策はディストリ界で最高レベルだと思います。
細かい点として、これまで普通にコンパイルできていたものが2つ、コンパイルできませんでした。エプソンのプリンタドライバと mailutils です。何か工夫が必要なようです。
プリンタドライバについてはバイナリーパッケージがインストール出来るのであえてコンパイル不調の原因を探らなくても良いと思います。
mailutils については s-nail で代用できたので、こっちもコンパイル不調の原因は探っていません。
Debian-13 になって 12 の頃と多少変わったところがあるようです。
正直なところ、あまり書くことがありません。これは良い意味です。変わらず安定しています。
書き直す前のチャプタを以下に示します。
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