Chap-13. Debian を試用

 Debian のお試しです。初稿 2018-11。
今回のは 2024-07:修正等。Debian-12.6 でのお試しです。

Unstable 版及び testing 版については、2年のサイクルのうち更新が止まる期間が半年前後あるため実利用の対象外と理解しています。

固定リリース版とローリングリリース版については、UNIX ギークっぽく使うなら(個人的には)固定リリースに限ると思っています。
そこらへんの詳細は Chap-34. Sec-23. に書いています。
このため、このチャプタは下記 a)、b)、c) をすべて対象にしています。ただし a) についてはこれまでも触れてきて、あまり変化がないので(良い意味で)記述は省略します。


 現在、使い方からの視点とセキュリティー上の視点の2つからディストリを見ています。
使い方からの視点は以下のとおりです。3つの使い方パターンで見ています。

また、セキュリティー上の視点(一般論)についてはChap-26-2.にまとめています。



Sec-1.インストール
Sec-2.日本語入力の設定
Sec-3.インストール後、最初に試すこと
Sec-4.Windows 代替(ATW)としての利用
Sec-5.全体を通しての印象



Sec-1.インストール

 使用する機器はマザーGigabyte B450 もの。CPU は ryzen 3400G、イーサカードは broadcom7522、GPU は AMD 内蔵のヤツです。
特に書くことは無いです。GNOME を使いました。




Sec-2.日本語入力の設定

 最初から日本語入力が完備しています。
ロケールを日本に設定してインストールした場合は、GNOME デフォルトでは ibus-mozc がインストールされています。
ibus-mozc の設定変更(ショートカットキー割付の変更)については Cha-27.を見てください。割付の変更をやらないとものすごく使いづらいと思います。




Sec-3.インストール後、最初に試すこと

 以下のチェック項目はいずれもUNIXシステムとして管理する上で、私にとって必須の項目です。

以下、順に試していきます。



1.と2. IPアドレスとリゾルバーの設定

 GNOME だけを試したので NetworkManager です。他のDEだと Debian は割合とややこしいです。

管理方法は Chap-19. をご覧ください。




3. /etc/rc.local は使えるか?

 Debian-11、Debian-10 と同じです。
簡単に使えるか、という質問に対しては微妙な答えです。ちょっとややこしいやり方。
でも、一応できます。以下のサイトを見て、そのとおりにやったら /etc/rc.local が無事に動きました。


"Linux : How to add rc.local in Debian 9"
https://www.itechlounge.net/2017/10/linux-how-to-add-rc-local-in-debian-9/

この中で、以下のファイルを作れと書いてあります。


/etc/systemd/system/rc-local.service (file)
----------------
[Unit]
Description=/etc/rc.local
ConditionPathExists=/etc/rc.local

[Service]
Type=forking
ExecStart=/etc/rc.local start
TimeoutSec=0
StandardOutput=tty
RemainAfterExit=yes
SysVStartPriority=99

[Install]
WantedBy=multi-user.target
-----------------

要するに上のファイルは、systemd 流儀の管理ファイルです(Unit)。更に、rc.local を以下のように仮りおきします。


/etc/rc.local
----------------
#!/bin/sh -e
#
#
#
exit 0
#

これでモードを755にしておいて、以下のように自動スタートを有効化します。


# systemctl enable rc-local.service

その後、スタートさせます。これはOSリブートせずに、現状でスタート。


# systemctl start rc-local.service

で、実際にうまくいっているか、status を調べます。


(check status)
# systemctl status rc-local.service

きっと、有効だという表示がでます。これで reboot すれば、無事に /etc/rc.local が動くはずなので、後は自分が動かしたいもの(きっと、外部からソースを持ってきて野良コンパイル・インストールしたデーモン、笑)を /etc/rc.local の中に書き込むだけです。




4. パケットフィルタは普通に使えるか?

パケットフィルタは問題なく使えます。オケです。nftables 調子良いです。




5. デーモンのコントロール

 デーモンのコントロールは以下のとおりです。

# systemctl enable hogehoge (hogehoge サービスの有効化)
# systemctl start  hogehoge (hogehoge サービスの開始)
# systemctl status hogehoge (hogehoge サービスの状態を見る)

# systemctl disable hogehoge (hogehoge サービスの無効化)
# systemctl stop    hogehoge (hogehoge サービスを止める)

# systemctl -l   (動いているサービスの一覧を見る)

最初に systemd にふれたときはかなりの拒否反応をしてしまいました。慣れるとマアマアなんとかなります。





6. Apache、postfix、guile、lua は簡単にコンパイル・インストールできるか?

 全部まとめて、書いておきます。
Apache、Postfix を自分でコンパイル・インストールしたいのは上記 a. の用途です。
Debian はセキュリティフィックスへの対応が良好なので、特にどうしても最新版をコンパイルして入れる必要は無いと思いますが・・・私の場合、諸々の理由で自分でコンパイルしています。
guile、lua は上記 b. の利用です。単に最新のものを 「使ってみたい」 というだけの理由です。
詳細はChap-7. にしめすとおりです。全部問題なくコンパイル・インストール出来ます。
補足:postfix の動作確認で mail コマンドを使うだろうと思います。s-nail は調子悪そうです。なんだか挙動が変です。
mailutils-3.15.tar.gz (多分 GNU のソース)をダウンロードしてコンパイル・インストールした mail コマンドが調子良いと思います。

注:Luaに関しては、インタープリターとして使うのみなら野良コンパイルしても大丈夫です。が、組み込みに使おうとするとシステムオリジナルのものとバッティングするようです。なので組み込み系で使うならシステムのパッケージ (liblua5.4-dev 等)を使ったほうが良さそうです。





7. シリアル回線使ってルータ管理できるか?

 もともと以下のようなコムポート増設のカード(2つ加える)を使っていました。

serial1

最近は USB に刺すシリアルケーブルを使っています。以下のようなヤツ。
最近使っているルータのシリアル回線はRJ端子です。余談ですが、これだとクロスケーブルとかストレートケーブルとか考えなくて良いので、便利です。

serial2

コムポート増設カードを使っても、USBーRJ シリアルケーブルを使ってもOSは調子良いです。
ただしOSは調子良いのですが、インストーラが相変わらずイマイチです。コムポート増設カードの認識に失敗して、インストールがうまく行かない模様です。
なので、コムポート増設カードを使うなら他のマシンでインストールして、そのSSDをこっちのマシンに持ってくるという作業が必要です。ちょっと面倒くさい、笑。
USB-RJ のケーブルを使うならそんな作業は必要ありません。


 2024-08: 修正です。USB-RJ のシリアルケーブルを使うと時として cu コマンドがハングアップします。動作不安定。原因はわかりません。Debian 派生でも同じ現象になります。
なお、Ubuntu-LTS(24.04)、Slackware-15 ではこの問題は発生しません。おすすめ3つのディストリの中では Debian だけ調子悪いようです。






8. CUI(サーバ)へのインストールや管理

 今回、記述省略








Sec-4.Windows 代替(ATW)としての利用

 Windows 代替(ATW)として使いやすいかどうか、私の印象を少しだけ書いておきます。つまり、冒頭に書いた c. の使い方。

プリンター、スキャナ
 プリンタについては Chap-32. にまとめています。そっちをご覧ください。Wifi 経由でプリンタ(Epson-PX-048A)が使えます。
スキャナも wifi 経由で問題なく使えます。
良好です。

ブラウザ
 デフォルトで Firefox が入ってます。
この Firefox で問題なくアマゾンプライムの映画が視聴出来ます。
ただし Linux を使うとプライムの画質は SD 画質。2HD では視聴出来ません。ガックシ・・
ネットフリックスは Linux でも 2HD 画質で視聴できて良好です。アマゾンの制限は一体なんなんでしょうか?
Yahooの動画の一部は user agent switcher ってのを入れると視聴出来るようになります。
更に動画への適応を求めるなら Google-chrome のインストールが良いと思います。ただしこれを使ってもアマゾンは依然として SD 画質ですが。
google-chrome も簡単にインストール出来ます。ゴーグルのサイトからパッケージをダウンロードして

# apt install ./google-chrome-stable_current_amd64.deb

などとするだけです。

メーラ
 sylpheed のパッケージがあります。うまく動きます。快調です。evolution は最初から入っています。好みに応じてどうぞ。
sylpheed でも evolution でも迷惑メール対策は同様にできるので、個人的にはどっちでも可です。
flatpak 版の evolution を使っておくと、ディストリチェンジするとき引っ越しが楽な気がします。flatpak 版にしておくとディストリチェンジしたときバージョンが同一なので問題が生じにくいからです。

オフィス
 LibreOffice が使えます。調子良いです。

画像ソフト
 Gimp がインストール出来ます。問題なく動きます。十分良好です。

パッケージのアップデート・インストール
 パッケージのインストールは apt install で簡単です。
更新は apt update、apt upgrade で入れていくだけです。

以上です。


これだけのソフトウェアが動けば、私としては満点評価です。評価は人によるとは思いますが・・・





Sec-5.全体を通しての印象

 このセクションは私の独断的、個人的な評価です。

まず使い方の視点から見た評価です。
a. の利用について・・・・・・・今回評価対象外。Debian 11 で試したときは調子よく良好でした。多分変わりないと思います。
b. の利用について・・・・・・・基本的に良好です。
c. の利用について・・・・・・・基本的に良好です。
 使い方自体は良くできています。


 次にセキュリティー上の視点からの評価です。stable 版は万全と言って良いと思います。Debian 監査チームがパッチを作って流しています。
Debian-stable、Ubuntu-LTS、Slackware-15 などのセキュリティ対策はディストリ界で最高レベルだと思います。



 正直なところ、あまり書くことがありません。これは良い意味です。変わらず安定しています。
Debian-stable、Ubuntu-LTS、Slackware-15 などの安定系OSでサーバ運転していると何もやることがありません。たまに更新してリブートするくらい、笑。









書き直す前のチャプタを以下に示します。

一つ前のもの
https://www.quinos.net/topicd/topicd.02.html
二つ前のもの
https://www.quinos.net/topicd/topicd.01.html