Chap-14. MXLinux を試用

 初稿 2019-夏。 全面書き直し 2021-08


 *2021 夏現在、使い方については以下の3つの視点で見ています。( Chap-26. 参照)

 *また、セキュリティ上の視点では「セキュリティやバグのフィックスをいつ誰がやっているか?」の視点で見ています。(Chap-26-2. 参照)

 *更に、2019夏頃までは systemd に強い拒否反応をしていましたが、今では慣れました。(拒否反応しなくなりました)

以上の自分自身の変化を踏まえて、時点修正とともにこのチャプタを書き直しました。
このディストリは基本的にサーバ利用は考えていないと思います。そっち系は対象外。なので、上記のc.系で使いやすいかどうかをメインに見ます。一応b.系も軽く見ます。
 また、非力な CPU で Windows 代替利用するなら GNOME 利用を考えたいところです。
現在の MXLinux はブートシステムとして systemd も選べます。また DE として KDEplasma も選べます。この KDEplasma にGNOME をかぶせて入れて、うまく使えるかどうか、見てみます。変則的な使い方ですが、うまく使えれば魅力アップです、笑。


Sec-1.インストール
Sec-2.日本語入力の設定
Sec-3.インストール後、最初に試すこと
Sec-4.Windows 代替(ATW)としての利用
Sec-5.全体を通しての印象


Sec-1.インストール

 使うのは 19.3 バージョンです。お試しは AMD athlon 3000G + B450 マザボ + 古めの Geforce グラボ、という構成です。
インストーラは MXLinux、antiX 共通の独自インストーラです。CUI インストール(サーバを意識)は出来ません。
ハードウェアへの適合に優れていて、クセのあるノート PC でも大抵うまくインストール出来る優れもののインストーラです。
ここでは MXLinux の KDE 版 ISO を選んでインストールしました。過去に試した経験から考えると Xfce に GNOME をかぶせて入れるより、KDE に GNOME をかぶせて入れたほうがややマシです。手順としては

これで GNOME(Wayland版)が立ち上がります。チェックしてみると

$ ps ax | grep wayland
 1257 tty2     Sl+    0:07 /usr/bin/Xwayland :1 -rootless -terminate -accessx -core -listen 4 -listen 5 -displayfd 6

無事に wayland が動いています。多分、動画再生のメリットがあると思います。・・・多分、笑。
こんな風に使うのは、あきらかにディストリやってる人たちからすると想定外だと思います。でも、面白そうなので試してみます。
「うまくいったら儲けもの」くらいの軽い気持ちでチャレンジです。

なお、KDEplasma の状態なら MX boot option というツールが使えます。これを使って指定すると、毎回 systemd で自動的に立ち上がるように設定できます。一旦この指定をしておいて、それから GNOME を使うのが良さそうです。




Sec-2.日本語入力の設定

 IMとして GNOME に親和性の良い ibus-mozc を入れました。

# apt install ibus-mozc mozc-utils-gui

とするだけです。
IM の設定は GNOME の設定から、「地域と言語」に入り、IM として mozc を追加します。
それで、上のパネルの中に IM のアイコン(ibus-mozc アイコン)が入ります。
ibus-mozc の設定変更(ショートカットキー割付の変更)については Cha-27.を見てください。やっておかないと、すごく使いづらいと思います。




Sec-3.インストール後、最初に試すこと

 Windows代替利用がメインなので、このチェック項目のほとんどは不要です。他のマシンからログインすることも無いだろうし、フィルターかける必要性も無いと思います。IPaddress も DHCP で受ければ良いです。
もっとも、DATくらいは好きな人なら使うかもしれないし、デーモン管理は必要と思いますが・・・・
ここでは、一応以下の全項目を軽くチェックしておきます。



1.と2. IPアドレスとリゾルバーの設定

 NetworkManager を使う管理手法です。Chap-19. 参照してください。




3. /etc/rc.local は使えるか?

 最初から使える状態になっています。
systemd のディストリで rc.local が最初から使えるように設定しているディストリを始めて見ました。こういうのは、有り難いです。
「sytemd の流儀は Unit ファイルだ」なんて固いことを言わないで柔軟にやってるのが、好印象です。



4. パケットフィルタは普通に使えるか?

パケットフィルタは問題なく使えます。オケです。nftables 調子良いです。でも、Windows 代替利用なら不要ですね。




5. デーモンのコントロール

 Chap-13.の Debian と同じです。




6. Apache、postfix、guile、lua は簡単にコンパイル・インストールできるか?

 全部まとめて、書いておきます。
Apache、Postfix を自分でコンパイル・インストールしたいのはサーバの用途です。
このディストリには関係ないですが、ちゃんと、普通にコンパイル出来ます。
guile、lua はプログラミングを楽しむ時の話です。単に、最新のものを 「使ってみたい」 というだけの単純な理由です。
詳細はChap-7. にしめすとおりです。全部 Debian と同じです。問題なくコンパイル・インストールできます。




7. Dat ドライブは普通に使えるか?

 問題なく使えます。今、私はUSB-DAT72 ドライブを使っています。(たまに)
ドライブを USB に接続して電源を入れると、/dev/st0 が自動的に出来ます。後は

$ tar tvf /dev/st0

などとやると、DAT72 テープに収めたファイルが読めます。当然、書き込みも出来ます。オケです。




8. シリアル回線使ってルータ管理できるか?

cu コマンドを使えば、簡単にシリアル回線でルータが管理できます。オケです。

$ cu -l /dev/ttyS0
$ cu -l /dev/ttyUSB0 

こんな感じです。-s 9600 などと速度指定する必要はありません。ユーザは /etc/group の dialout グループに入れておきます。cu は # apt install cu で入ります。




Sec-4.Windows 代替(ATW)としての利用

 Windows 代替(ATW)として使いやすいかどうか、私の印象を少しだけ書いておきます。以下の記述はほとんど Chap-13. のコピーです、笑。

プリンター、スキャナ
 基本的に Debian と同じです。良好です。


ブラウザ
 デフォルトで Firefox が入ってます。
この Firefox で問題なくアマゾンプライムの映画が視聴出来ます。
また、Yahooの動画の一部は user agent switcher ってのを入れると視聴出来るようになります。
もしも標準装備の Firefox よりも動画視聴の良いものを求めるなら、標準装備の Firefox を削除して Flatpak から Firefox をインストールしなおすか、あるいは Google-chrome のインストールが良いと思います。
Flatpak の利用については、Chap-31.に書いています。簡単に利用できます。
google-chrome も簡単にインストール出来ます。ゴーグルのサイトからパッケージをダウンロードして

# apt install ./google-chrome-stable_current_amd64.deb

などとするだけです。
また、MX package installer に google chrome があります。こちらからでもインストールできると思います。このパッケージインストーラを使うときは KDEplasma に戻す必要があります、汗。


メーラ
 GNOMEを入れた関係で evolution が入りました。こっちは立ち上がりましたが、sylpheed を入れたら、そっちは全く動きません。ハテ? 追加で MIME タイプとかのインストールが必要だとか表示されます。具合が悪そうです。詳細は追求しません。


オフィス
 Libre-Office が最初から入っています。ただしメニューが英語表示。なので

# apt install libreoffice-l10n-ja

とします。それでメニュー表示が日本語になり、問題なく使えます。


画像ソフト
 Gimp が使えます。問題なく動きます。十分良好です。なぜか、こっちは最初からメニュー表示が日本語です。


パッケージのアップデート・インストール
 GUI のパッケージインストーラ(gnome software)からパッケージのインストールは出来ます。アップデートが出来ません。多分、無理やり gnome を入れた弊害か? 笑。
MXupdate も動きません。
他にもいくつか、MX のツールが動きません。
このため、「パッケージインストールは GUI で出来ても、更新は CUI でやらなければならない」って状態です。
# apt update とやって # apt upgrade とやるだけなので簡単ですが・・・


なお、KDEplasma にすると、GNOMEで動かなかった各種ソフトがすべて無事に動きます。当然ですね、笑。


以上です。





Sec-5.全体を通しての印象

 このセクションは私の独断的、個人的な印象のみです。

*まず使い方の3つの視点から見た評価です。
a. の利用について・・・・・・・対象外
b. の利用について・・・・・・・基本的に良好です。
c. の利用について・・・・・・・GNOME では不具合があります。KDEplasma だと動画再生のメリットはないと思いますが、それ以外は問題無しです。

*次にセキュリティー上の視点からの評価ですが、これは基本的に Debian と同じ。とても優秀と考えられます。

 全体としてどう評価するかは、使い方によると思います。
 GNOME だと、更新関係が GUI で出来ない、MX ツールのいくつかは使えない、sylpheed も使えないなどの不具合があります。
ただしそれら不具合の引き換えに、wayland が動き、(多分)動画再生のメリットがありそうです。
 Xfce や KDE なら不具合なしで使えますが、現時点では動画再生のメリットは無いだろうと思います。



2021-08-31補足:ネットで見た情報ですが、KDE が着々と Wayland 対応しているらしいです。少し待てば MXLinux の KDE でも動画再生が具合よくなると思います。
失念しましたが、確か現状の MXLinux + KDEplasma ではまだ wayland は動いてなかったと思います。多分、もうちょっと・・




 以前のチャプタは以下に保存しています。だいぶ古いし、意味ないと思いますが・・・
https://www.quinos.net/topich/topich.01.html