Chap-21. ArcoLinux を試用

 初稿 2020-05、 更新 2022-07

 以前このチャプタは Manjaro、ArcoLinux のチャプタでした。
Manjaro + GNOME が我が家のマシンで一貫して不調です。(AMD-3000 シリーズ CPU + 内蔵GPU)
GNOME 版でインストールしても発色がおかしくて全然使えません。ハテ? Manjaro はお試しすら出来ない状況です。諦めました。
なので、今回は ArcoLinux + GNOME のお試しとします。2022-07


 Linux の使い方について私は以下の3つの視点で見ています。( Chap-26. 参照)

 *また、セキュリティ上の視点では「セキュリティやバグのフィックスをいつ誰がやっているか?」の視点で見ています。(Chap-26-2. 参照)


Sec-1.インストール
Sec-2.日本語入力の設定
Sec-3.インストール後、最初に試すこと
Sec-4.Windows 代替(ATW)としての利用
Sec-5.プリンタ及びスキャナの設定
Sec-6.全体を通しての印象




Sec-1.インストール

 インストーラは Calamares です。ハードウェア認識に優れていて、しかも扱いの簡単なインストーラです。
なお、お試しは AMD athlon 3000G + B450 マザボ という構成です。CPU 内臓の GPU(Radeon) を使います。ネットワークには intel 1000CT というカードを指しています。
ArcoLinux はインストール用ISOがものすごく沢山あって迷います。今回は ArcoLinuxD というISOを使いました。
GNOME 利用の場合にインストール中にチェックしたのはカーネルを選びAMD-ucode を選んだシーンと、XF86 の選択及びGNOMEを選んだシーンだけ。後は何もチェックせずにインストールしました。どうせ後から好きなだけインストール出来ますし。
なお、XF86も選ばず GNOME のシーンでも何もチェックせずにインストールすると概ねCUIサーバ状態でインストールされ、CUI状態でOSが立ち上がります。後日これでインターネットサーバも立ててみました。




Sec-2.日本語入力の設定

 まずフレームワークとして ibus 使ってるのを探すと、kkc、anthy、skk の3つの im が見つかります。
一方でフレームワークとして fcitx5 を使ってるのを探すと、mozc、anthy、kkc、skk の4つの im が見つかります。
kkc は前に CentOS で使って良い印象ではなかったです。変換効率がよくない。動作も一部不安定。
skk は使い方を知りません。なんだか、ネットの情報を見ているとタッチタイピングには全然対応できそうにありません。なので除外。
anthy と mozc は2022-07時点でどちらも良好だと思います。動作はたいてい安定しているし、変換効率も悪くない。タッチタイピングでの入力に適したキーボード割付も設定出来ます。
どっちを選んでも良いと思いますが個人的には mozc が好みです。mozc を入れました。
GNOME でフレームワークに fcitx を選ぶのはやや変則ですが以下のようにやればなんとかなります。


 まず、「設定」ー「キーボード」 または、「設定」ー「地域と言語」から入力システムの画面を出します。
下のような具合ならオケです。

002

次に、fcitx5 の関連パッケージを適当に入れます。(おおまかにこんな感じだったと思います)


# pacman -S fcitx5-mozc fcitx5-gtk fcitx5-configtool

次に $HOME/.bash_profile に以下の4行を書き加えます。(実際には GNOME だと QT のは不要ですが)
im 指定するところは fcitx でも fcitx5 でもどっちでもオケだったと記憶しています。


export GTK_IM_MODULE=fcitx
export XMODIFIERS=@im=fcitx
export QT_IM_MODULE=fcitx
export DefaultIMModule=fcitx

以下、リブートすると ctrl + space で IM のオンオフが制御でき、GNOME + fcitx5-mozc で日本語変換出来ます。
やや強引なやり方ですが、X 端末、Firefox、sylpheed、libreoffice で問題なく日本語入力出来ました。
なお、このやり方だと画面上部に IM のアイコンが出ません。以下の操作をします。


$ yay gnome-shell-extension-kimpanel-git

この後、拡張を開いて Input Method Panel をオンにします。


scsho003

すると下の図のようにIMのアイコンが出ます。ただしこのままだと us 表示です。
下の左がアイコンの箱がでた状態。右がUSキーボード表示になっている状態です。


fcitx-panel

ここで「fcitx5 設定」を起動して下のようにします。最初は英語キーボードになっているので、これを日本語キーボードにします。


scsho003

これでアイコンの表示が im オフの時に「jp」になり、im オンの時は「あ」になります。




補足:
fcitx4 の頃は export DefaultIMModule=fcitx の記述を fcitx -d > /dev/null 2>&1 としたほうが動きがスムースなことがありました。(直接にデーモン起動する)
fcitx5 になってどっちでも動きは変わらなくなったようです。(そんな気がします)
もしも im の動きがギクシャクするときはデーモン起動の方法にかえてみてください。もしかするとちょこっとだけマシになるかもしれません、よう知らんですけど、笑。

なお、ibus-anthy でかまわないという人は GNOME の普通のやり方でできます。ここでは特に説明しません。
ArcoLinux ibus-anthy で検索するか、あるいは Manjaro ibus-anthy で検索するとやり方が沢山出ると思います。




 yay を使うと ibus-mozc がインストール出来ます。2年ほど前に試したときより 2022-07 時点の方が良くなりました。しかしまだ fcitx 版に比較するとやや不安定です。それで fcitx5 版の mozc を選んだ次第です。




Sec-3.インストール後、最初に試すこと

 UNIX っぽい利用のためのチェックです。
ここでは、一応以下の全項目を軽くチェックします。

以下、順に試していきます。



1.と2. IPアドレスとリゾルバーの設定

 NetworkManager を使ったやり方です。GUI でも CUI (サーバ的)でもNetworkManager を使っています。CUI なら nmcli コマンドで管理します。そのコマンドの使用例は Chap-7. 見てください。



3. /etc/rc.local は使えるか?

 systemd のディストリの標準的なやり方で動かせます。Debian と同じに出来ます。



4. パケットフィルタは普通に使えるか?

パケットフィルタは問題なく使えます。オケです。nftables 調子良いです。



5. デーモンのコントロール

 systemd のディストリの標準的なやり方です。Debian と同じです。



6. Apache、postfix、guile、lua は簡単にコンパイル・インストールできるか?

 Chap-7. 見てください。
Apache と Postfix はパッケージに最新版がありますす。guile と lua はちょっと古い版のパッケージしか無いようです。
しかし自分でやれば全部問題なく最新版がコンパイル・インストール出来ます。
CUI モードで OS インストールすると Apache のコンパイルには apr、apr-util、pcre を追加インストールする必要があるようです。
一方、GUI モードの ArcoLinux の方は多分何も追加パッケージを入れなくてもコンパイル出来ます。



7. Dat ドライブは普通に使えるか?

 問題なく使えます。今、私はUSB-DAT72 ドライブを使っています。(たまに)
ドライブを USB に接続して電源を入れると、/dev/st0 が自動的に出来ます。後は

$ tar tvf /dev/st0

などとやると、DAT72 テープに収めたファイルが読めます。当然、書き込みも出来ます。オケです。



8. シリアル回線使ってルータ管理できるか?

uucp パッケージをインストールすれば cu コマンドが使えます。ユーザを dialout と uucp のグループにいれます。





一年前に試したときも感じましたが、このディストリは UNIX っぽい使い方に割合と向いています。
CUIサーバ状態でインストールし、数日間インターネットサーバとして運用してみました。特に何も問題ありませんでした。





Sec-4.Windows 代替(ATW)としての利用

 Windows 代替(ATW)として使いやすいかどうか、私の印象を少しだけ書いておきます。

ブラウザ
 デフォルトで Firefox が入ってます。
この Firefox で問題なくアマゾンプライムの映画が視聴出来ます。
また、Yahooの動画の一部は user agent switcher ってのを入れると視聴出来るようになります。
もしも標準装備の Firefox よりも動画視聴の良いものを求めるなら、Google-chrome のインストールが良いのですが、google のサイトから直に落として入れるのは無理です。代わりに、yay でインストール出来ます。これで無事に動きます。
flatpak からも google-chrome や Chromium が入ると思います。
(2022-09補足)
 なお Arch 系あるあるかもしれませんが、ブラウザで PDF ファイルが見られません。これは firefox ならプラグイン、Chromium なら拡張機能を入れれば見られるようになります。
いずれも該当の設定のところで pdf viewer とかして探せば色々出てきます。試しながらどれか適当に使います。

メーラ
 Sylpheed が yay でインストール出来て使えます。Evolution 等も使えると思います。

オフィス
 Libre-Office が使えます。全然問題なしです。libreoffice-still-ja を入れれば本体も関連で一緒に入ります。

画像ソフト
 Gimp が使えます。問題なく動きます。十分良好です。

DVD 再生
 pacman で vlc と libdvdcss パッケージを入れます。それで市販DVDが視聴出来ます。以前は明示的に libdvdcss を指定しなくても自動で入った気がします。今回は明示的に指定してインストールしました。ちょっとやり方が変わったようです。

更新やパッケージ・インストール
 CUIで # pacman -Syyu で更新です。パッケージ・インストールは pacman -S hoge です。

以上です。

2022-07-13 訂正
追加:現在、サーバルームのお試し用のマシンはAMD3000番台CPUです。すでに Spectre, Meltdown 脆弱性はハードウェアレベルで解消ずみです。なので修正版マイクロコードをちゃんとインストールできているかどうかチェックすることが出来ません(チェックする意味が無い)。
たまたま、リビングの intel Celeron N4100 シリーズCPUを使っているノートPCにインストールしてチェックしてみました。
その結果、LTS カーネルを使うと脆弱性が解消出来ないことに気がつきました。2022-07 時点のSpectre-meltdown-checker.sh でチェックすると15項目中で2番目の項目がパス出来ません。
一方、通常の最新版カーネルを使えば、問題なく全てのチェックをパスします。
常に最新版を入れていくディストリの性格から考えると、ちょと古めのLTSカーネルについてシビアなチェックをしていないのは、何となく納得です、笑。
2022-07-10 時点では全ての ArcoLinux について脆弱性がクリア出来ないような書き方をしていました。LTS版だけですね、クリア出来ないのは。




Sec-5.プリンタ及びスキャナの設定

 プリンターの設定は Chap-32.に移動しました。ArcoLinux は Chap-32. の Sec-4. と Sec-5. の方法で対応出来ます。
Chap-32. を見てください。

スキャナも Wifi 経由で問題なく使えます。





Sec-6.全体を通しての印象

 このセクションは私の独断的、個人的な印象のみです。

*まず使い方の3つの視点から見た評価です。
a. の利用について・・・・・・・短期間のお試しでしたが調子良いです。
b. の利用について・・・・・・・全然問題なく、とても良好です。
c. の利用について・・・・・・・プリンタ設定は自分でソースからドライバをコンパイルしたり、いろいろと作業が必要です。それ以外の事柄は良好です。

*次にセキュリティー上の視点からの評価ですが、Chap-26-2. に示すカテゴリ3(カテゴリ2の派生)なので問題は無いだろうと思います。


ArcoLinux のリポ不調の件
 Chap-33. Arch Linux  Sec-2. リポ不調のところを見てください。2022-07 から 2022-08 にかけて状況改善の過渡期らしいです。



 Distrowatch を見ていると ArcoLinux のコメントは散々のようです。あまり良い評価はのっていません。「うまく動かない」というコメントが多そうです。もしかすると海外ユーザでも更新不調の問題に遭遇している人が多いのかもしれません。


Manjaro について (2022-09-01)
 Manjaro で発色がおかしかったり、spectre、meltdown チェックがパスできなかったと 2022-08 に書いた件について。

 発色については、お試しに使うマシンのディスプレイにやや問題があり、新しいのに代えたら Manjaro-GNOME-iso で普通にインストール出来て問題なく動きました。発色も無事でした。
他のディストリ(Debian、ALmalinux、Arch系、SUSE等)はそのディスプレイでも正常な発色だったので、Manjaro のドライバーだけがやや機器類に敏感だったようです。新しいディスプレイでは十分に綺麗な発色でした。
 また、変則的なインストールをせずに普通に Manjaro-GNOME-iso でインストールし、更にカーネルを 2022-09 最新の 5.19 系列にしてチェックしたところ、spectre、meldown のチェックを無事にクリアしました。(Celeron N4000 series CPU)
LTS カーネルだとダメで最新のカーネルだとチェッククリアできるところは、他の Arch 系ディストリ(Arcolinux EndeavourOS)と同じです。

 もしかしたら最新のチェッカーは(チェッカー自身が)ちょいとおかしくないかな・・・と感じます。今まで普通にパスしていたものが通らなくなっているし。
それとも新しい知見が出て「今までのチェックの仕方じゃダメだ」なんてことになったんでしょうか?
Spectre、Meltdown の対応現場は混乱してるような気がします。CPU をさっさと最新版に買い替えたほうが吉です。





 以前のチャプタは以下に保存しています。
https://www.quinos.net/topicl/topicl.02.html  (一つ前)
https://www.quinos.net/topicl/topicl.01.html  (二つ前)