Chap-21. ArcoLinux を試用

 初稿 2020-05、 更新 2023-08

2023-11-18: Chap-0 に書いたとおりです。更新の内容は今後変わります。来年GW以降の話ですが、笑。


 *Linux の使い方について私は以下の3つの視点で見ています。( Chap-26. 参照)
このディストリの場合はサーバ用のインストール(CUI に入れる)をサポートしていないので、原則として b. c. を対象にチェックします。


 *また、セキュリティ上の視点では「セキュリティやバグのフィックスをいつ誰がやっているか?」の視点で見ています。(Chap-26-2. 参照)


Sec-1.インストール
Sec-2.日本語入力の設定
Sec-3.インストール後、最初に試すこと
Sec-4.Windows 代替(ATW)としての利用
Sec-5.プリンタ及びスキャナの設定
Sec-6.全体を通しての印象




Sec-1.インストール

 インストーラは Calamares です。ハードウェア認識に優れていて、しかも扱いの簡単なインストーラです。
なお、お試しは AMD ryzen 3400G + A320 マザボ という構成です。CPU 内臓の GPU(Radeon) を使います。ネットワークには intel 1000CT または broadcom 5722 物を使います。
最近 GNOME でのお試しが多かったので今回は xfce にします。
ArcoLinux はインストール用 ISO がものすごく沢山あって迷います。今回は ArcoLinuxD という ISO を使いました。
インストール中にチェックしたのは LTS カーネルを選び AMD-ucode を選んだシーンと、XF86 の選択及び xfce を選んだシーンだけ。後は何もチェックせずにインストールしました。
GNOME の場合はWM(ウィンドウマネージャ)を選ばなくても自動的に gdm が入ります。Xfce の場合には何か選ばないといけないらしい。インストール後に立ち上げたら CUI 状態でログインプロンプトが出ました、笑。なので後でウィンドウマネジャーを含めてインストールし直しました。




Sec-2.日本語入力の設定

 今回は xfce なのでフレームワークとして fcitx5 を使ってるものの中から fcitx5-mozc を使います。
fcitx5 の関連パッケージを適当に入れます。(おおまかにこんな感じだったと思います)


# pacman -S fcitx5 fcitx5-mozc fcitx5-configtool fcitx5-gtk fcitx5-qt

次に $HOME/.bash_profile に以下の 3 行を書き加えます。
im 指定するところは fcitx でも fcitx5 でもどっちでもオケだったと記憶しています。
「セッションと起動」については fcitx5-mozc をインストールすると、自動的に fcitx5 を立ち上げるように設定がされました。


export GTK_IM_MODULE=fcitx
export XMODIFIERS=@im=fcitx
export QT_IM_MODULE=fcitx

以下、リブートすると ctrl + space で IM のオンオフが制御でき mozc で日本語変換出来ます。
ibus-mozc よりも fcitx5-mozc の方が最初に動かすときに少し面倒です。しかし動き出したあとは ibus-mozc みたいにショートカットキーの割付変更をしなくても良い分、楽です。





Sec-3.インストール後、最初に試すこと

 UNIX っぽい利用のためのチェックです。
「UNIX っぽい利用」のイメージはギークっぽくOSをいじりまわすイメージ。あるものをそのまま使うのではなく、自分流に好きにいじりまわすイメージです。要はそれがやりやすいかどうか、笑。
ここでは、一応以下の項目を軽くチェックします。

以下、順に試していきます。



1.と2. IPアドレスとリゾルバーの設定

 NetworkManager を使ったやり方です。GUI でも CUI (サーバ的)でもNetworkManager を使っています。CUI なら nmcli コマンドで管理します。そのコマンドの使用例は Chap-7. 見てください。



3. /etc/rc.local は使えるか?

 systemd のディストリの標準的なやり方で動かせます。Debian と同じに出来ます。
今回は試していませんが、cron を使っても rc.local を動かせると思います。



4. パケットフィルタは普通に使えるか?

パケットフィルタは問題なく使えます。オケです。nftables 調子良いです。



5. デーモンのコントロール

 systemd のディストリの標準的なやり方です。Debian と同じです。



6. Apache、postfix、guile、lua は簡単にコンパイル・インストールできるか?

 Chap-7. 見てください。
Apache と Postfix はパッケージに最新版があります。しかし、いじって工夫をするときはセルフコンパイル必須です。
guile と lua は今回は最新版が入っていました。なので、セルフコンパイルは簡単ですがやる意味は無いです。
なお、apache コンパイルには apr、apr-util のインストールが必要でした。



7. シリアル回線使ってルータ管理できるか?

uucp パッケージをインストールすれば cu コマンドが使えます。ユーザを uucp のグループに入れます。





 前に試したときも感じましたが、このディストリは UNIX っぽい使い方に割合と向いています。でも、その割に純粋の CUI インストールはサポートしていません。基本的に GUI 利用前提らしいです。





Sec-4.Windows 代替(ATW)としての利用

 Windows 代替(ATW)として使いやすいかどうか、私の印象を少しだけ書いておきます。ここのイメージはあまり OS 本体をいじまわしたりせず、各種アプリを使うイメージです。いわゆるパソコン利用。


ブラウザ
 インストール時に何もチェックしなかったので、当然にデフォルトでは何も入っていません。ブートアップ後に flatpak を入れ、その flatpak で Firefox を入れました。しかし少し様子がおかしいです。何故か HTML 形式に保存したファイルからブックーマークを復元するところが、正常に機能しません。pacman で入れた firefox の方は正常動作でした。
もしかしたら flatpak 用のサンドボックスがどこかおかしくなっているかも・・・・しれません。他のディストリでも時たま様子がおかしくなるので、サンドボックスの正常動作をキープするのは難しいことなのかなあと想像します。想像ですが・・・
なお話がそれますが、flatpak から google-chrome chromiumu などがインストールできます。chromium は試してみて正常、問題ありませんでした。


メーラ
 Sylpheed が yay でインストール出来て使えます。Evolution 等も使えます。

オフィス
 Libre-Office が使えます。全然問題なしです。libreoffice-still-ja を入れれば本体も関連で一緒に入ります。

画像ソフト
 Gimp が使えます。問題なく動きます。十分良好です。

DVD 再生
 pacman で vlc と libdvdcss パッケージを入れます。それで市販DVDが視聴出来ます。以前は明示的に libdvdcss を指定しなくても自動で入った気がします。今回は明示的に指定してインストールしました。
flatpak 版の vlc 利用でも DVD が視聴できます。
関連ですが、brasero も動きます。

更新やパッケージ・インストール
 CUIで # pacman -Syyu で更新です。パッケージ・インストールは pacman -S hoge です。

以上です。





Sec-5.プリンタ及びスキャナの設定

 プリンターの設定は Chap-32.に移動しました。ArcoLinux は Chap-32. の Sec-4. と Sec-5. の方法で対応出来ます。
Chap-32. を見てください。
パソコン側もプリンター側もちゃんと mDNS を無効にした上でプリントできます。良いです。
プリンターを使う前提で cups をインストールし cups、cups-browsed を有効化します。また ghostscript を入れておく必要があります。

スキャナも Wifi 経由で問題なく使えます。

 このディストリを使うならなるべくドライバソースを提供しているプリンタメーカーを選ぶのが吉です。例えば Canon とか Epson とか・・・
それと業務用プリンタは少し癖があるので、家庭用・個人利用のプリンタが扱いやすいです。




Sec-6.全体を通しての印象

 このセクションは私の独断的、個人的な印象のみです。

*まず使い方の3つの視点から見た評価です。
a. の利用について・・・・・・・(対象外)
b. の利用について・・・・・・・全然問題なく、とても良好です。
c. の利用について・・・・・・・プリンタ設定は自分でソースからドライバをコンパイルしたり、いろいろと作業が必要です。それ以外の事柄は概ね良好ですが、flatpak の一部がうまく動きませんでした。

*次にセキュリティー上の視点からの評価ですが、Chap-26-2. に示すカテゴリ3(カテゴリ2の派生)なので問題は無いだろうと思います。

 今年の夏シーズンに入って複数のディストリで flatpak の様子がおかしいです。
ArcoLinux の場合も pacman で入れたものだけで運用していると快調です。flatpak を使うと一部が変です。







 以前のチャプタは以下に保存しています。
https://www.quinos.net/topicl/topicl.03.html  (一つ前)
https://www.quinos.net/topicl/topicl.02.html  (二つ前)
https://www.quinos.net/topicl/topicl.01.html  (三つ前)