Chap-23. Kali, Parrot を試用

 例によって以下の視点でチェックします。試すのは Kali-2020.2 と Parrot-4.9.1 home kde です。
Debian系のディストリで、Debian testing をベースにしています。2つがよく似ているので一緒に書きます。
DE として、いずれも KDE plasma を使いました。

Sec-1.インストール
Sec-2.日本語入力の設定
Sec-3.インストール後、最初に試す事柄
Sec-4.各事柄を試した結果
Sec-5.Windows 代替としての利用(ATW)
Sec-6.Printer、Scanner の利用
Sec-7.全般の印象



Sec-1.インストール

 インストーラは Debian と同じような感じです。Debian のインストール経験があれば、すぐ出来ます。
Kali は GUI モードへも、CUI モードへもインストールが出来ます。
Kali を CUI インストールした感じは、そのまま Debian って感じで、一緒です。なので、特に CUI インストールした際の記述は無しにします。
Parrot には沢山のインストール用 ISO イメージがあります。ざっと見渡した感じでは、インストールは GUI モードだけのようです。


*kali
1st release が2013年。作っているのは Offencive Security って会社らしいです。
一般の利用は考えていなくて、基本的にセキュリティチェック等に特化したディストリです。
Distro ではスイス原産のような記述ですが、会社はアメリカらしいです。
*Parrot
こちらも 1st release は同じ2013年。
基本的には、Kali と同じで、セキュリティチェック用のディストリです。
ただし、こっちは Security ってISOイメージと、Home ってISOイメージがあり、一般利用も考えていそうですが、さて?
KDE plasma の背景がいかにもイタリアンっぽい感じで、おしゃれです(笑)



Sec-2.日本語入力の設定

 Debian のパッケージを利用しているらしくて、種類は豊富にあります。Debian はデフォルトで uim-mozc ですが、この2つには fcitx-mozc と ibus-mozc を入れてみました。どっちも正常に機能します。

fcitx-mozc を入れるのは

# apt install fcitx-mozc im-config zenity fcitx-frontend-gtk2 fcitx-frontend-gtk3

ホームディレクトリに .xprofile を作っておきます。(Chap-21. Sec-3. 参照)
fcitx-mozc は何も設定しなくても ctrl + space でオンオフします。


一方、ibus-mozc なら

# apt install ibus-mozc mozc-utils-gui

こんな感じです。ibus-mozc なら、Chap-22.Mageia でやったように設定して ctrl + space で IME がオンオフできるようになります。ibus-mozc は .xprofile 要りませんね。

ibus-mozc のほうが設定にひと手間かかりますが、設定をすれば fcitx-mozc と使い勝手に違いはありません。
以上、2つのディストリは同じ設定、同じ扱いです。




Sec-3.インストール後、最初に試す事柄

 続いて、例によって普通の UNIX マシンらしく管理・設定ができるかを試します。
ここでは、主に視点 a. 視点 b. 利用のためのチェックをやります。

次のセクションに、順に結果を書きます。




Sec-4.各事柄を試した結果

 基本的に2つのディストリは同じです。以下のとおり、特に問題はないです。

Spectre Meltdown
 インストール完了し、アップデートも済ませた後、チェッカースクリプト走らせたら、問題なく12項目クリアしました。Core i3-4160 のマシンで試しました。


IPアドレスとリゾルバ
 GUI インストールした際の管理の仕方は Debian と同じです。 NetworkMnager 使うやり方です。また、Kali で CUIインストールしたものも Debain と同じです。
Chap-19. Debian のところを見てください。


/etc/rc.local
 やり方は Debian と同じです。Chap-13. Sec-5.を見てください。


パケットフィルタ
 nftables も問題なく動きます。良好です。
Kali は nftables version 0.9.6 です。
Parrot は nftables version 0.9.4 です。


デーモン管理
 デーモンを動かしたり止めたりするのも、Debian と同じやり方です。Chap-13. Sec-7. 見てください。


コンソール利用
 GUI と CUI の切り替えは Debian と同じです。なお、Kali は CUI インストールをサポートしています。


DAT ドライブ
 Debian 同様に DAT ドライブが使えます。Chap-13. Sec-9. 見てください。


シリアル回線

以下のパッケージを入れます。

# apt install cu

これで cu が使えるようになります。
cu コマンドの使い方は Chap-basic-1. Sec-4-3. 見てください。


apache、postfix、guile、lua のコンパイル
 Debian とまったく同じです。同じパッケージをインストールすればコンパイル・インストール出来ます。


このセクションで試した事柄について、良い印象でした。


Sec-5.Windows 代替としての利用(ATW)

ブラウザ
Kali の Firefox は ver-68.10、 Parrot の Firefox は ver-75.0 です。


メーラ
sylpheed を試してみました。
*Kali は GUI インストーラで入ります。メニューもメール本文も、日本語対応で、問題ありません。
*一方、Parrot の方は GUI で入れましたが、(synaptic ってヤツ)どうも、一つ必要なパッケージが抜けちゃうみたいです。
なぜか libgtk2.0-dev が入らないままです。なので、うまく立ち上がりません。後でマニュアルに libgtk2.0-dev を入れました。
(# apt install libgtk2.0-dev)
それで立ち上がるようになりました。本文は日本語対応ですが、メニュー表示は英語でした。CUI の apt で sylpheed-i18n を入れても変わりませんでした。

なお、Parrot に sylpheed を自分でコンパイル・インストールして入れると、メニュー表示が日本語になります。簡単な作業なので、使うなら自分でコンパイル・インストールしたほうが良いと思います。


オフィス
LibreOfficeが問題なく動きます。
Kali は メニューも日本語です。ver-6.4.4.2 です。
Parrot はメニューが英語表示です。 ver-6.4.3.2 でした。


画像ソフト
とりあえず Gimpが問題なく動きます。いずれも ver-2.10 です。はやり Kali はメニューが日本語。Parrot はメニューが英語表示でした。


アップデート
いずれのディストリも、しばらく使っているとアップデート出来ないパッケージがいくつか発生します。GUI でやっても CUI でやっても同じです。どうも、あまり調子が良くないです(汗)。


パッケージ・インストール
*Kali は GUI のパッケージインストーラがうまく機能しません。パッケージ名が現れないです。ただし名前で検索すると出てきて、インストール出来ます。どうも、GUI インストーラが機能するように仕立ててないです。
CUI で # apt install hoge ってやると、こっちは問題なく動きます。
*Parrot は GUI CUI ともに動きますが、sylpheed でやったように、時として必要なパッケージ(依存関係)が GUI では処理されません。GUI インストーラが不完全です。
CUI の # apt install hoge だと、依存関係がうまく処理されるようです。 両ティストリとも、イマイチです。

以上です

 アップデートが調子悪いのと、GUI パッケージ・インストールが機能不全っぽいため印象としてはイマイチです。他は問題ないのですが・・・・
また、Kaliの場合、Konsole の設定変更をやろうとすると、いきなり /usr ディレクトリに書き込みに行こうとして失敗します。
どうやら、設定変更する場合は、まず default 以外のプロファイルを作っておいて、それから設定変更する必要があるようです。そうすれば、変更内容をホームディレクトリに書き込みに行きます。(そもそも、普通は無造作に設定変更しても、ホームディレクトリに書き込みに行く)
Kali は一般ユーザでログインするのではなく、root で利用する前提のようです。


 もう一つ。Kali で bluetooth のスピーカを扱おうとすると、パッケージを入れる必要があります。
# apt install pulseaudio-module-bluetooth
その後、bluetooth が初期設定で無効化されているので、立ち上げておきます。
# systemctl enable bluetooth
# systemctl start  bluetooth
これで、bluetooth のスピーカを認識し、BGM など鳴らすことが出来ます(笑)
Parrto の方は他のディストリと同じように、bluetooth が扱えます。



Sec-6.Printer、Scanner の利用

ーーープリンターーー
 基本的に Manjaro, ArcoLinux でやった方法と同じです。
ただし、多少の事前準備が必要です。
いくつかのパッケージを入れておいて、さらに cups を動かしておきます。

# apt install cups cups-browsed libcups2-dev
# systemctl enable cups
# systemctl enable cups-browsed
# systemctl start cups
# systemctl start cups-browsed

後は、Manjaro、ArcoLinux と全く同じです。Chap-21.の該当箇所を見てください。



ーーースキャナーーー
 Manjaro、ArcoLinux と全く同じです。Chap-21. の該当箇所を見てください。

以上で wifi 経由で Epson の PX-048A を動かせます。この Section は、調子良いです。



Sec-7.全般の印象

 例によって、極めて個人的な印象を書きます。評価の仕方と見るポイントは私なりの癖があります。

まず、3つの視点での評価です。
   視点a. ・・・・・・・特に問題はなさそうです。しかし実際にサーバ運転はしていません。
   視点b. ・・・・・・・特に問題ありません。プログラミング等でも、安定して使えそうです。
   視点c. ・・・・・・・パッケージはそれなりにあるのですが、インストーラが調子悪いです。ATW として満足は得られないでしょう。

 次にリポの安定性について
 先に既に書きましたが、アップデートでいくつかのパッケージがインストール出来ない状態が、いつまでも続きます。イマイチです。
どうも、testing version らしさが、こんなところに出てきます。
つまり「testing version はデスクトップ利用では通常利用に耐えられる程度の安定性がある。しかし、無造作にパッケージをリポに加えていくので、時としておかしくなることもある」ということです。ぴったりこの通りの解説では無かったかもしれませんが、概ね、意味としてはこんなことが Debian サイトに書いてあったと記憶しています。
どちらも penetration などのセキュリティ・チェック用に特化したディストリで、通常利用には向いていないと思います。ちょっと残念(汗)。


testing version について
ここで、テスティングバージョンについて、ちょっと一言。適当な、個人的な見方です。
上記で Kali と Parrot について「testing version がベースだからイマイチ」みたいな印象を受けるかもしれませんが、イマイチなのは testing version ベースだからではありません。
イマイチなのは、安定性確保に十分な配慮がなされていない・・・・っぽいからです(笑)
同じ testing version ベースの Ubuntu が素晴らしい安定性を確保しています。多分(想定あるいは想像ですが)、安定性確保のために Ubuntu 開発チームは相当の努力をしています。
なので、testing version を使っても、「安定しているものは素晴らしく安定している、不安定なものは不安定」ってことですね(笑)。
Kali Parrot が好きな方がいたら、すみません、悪口いう気は無いです・・(汗)