Chap-29. GeckoLinux の試用

 openSUSE の派生ディストリで、パッケージ管理は rpm 形式。systemd 採用しています。
2016 年最初のリリースなので、歴史はあまり長くない。
ネットには、openSUSE と GeckoLinux の関係は、Ubuntu と Mint の関係に近いと書かれています。いろいろ便利なものが入っているらしいです。
Ubuntu - Mint 間では、派生 Mint の方が人気ですが、こっちはそうじゃない。Distrowatch 60 位前後の超マイナーなディストリです。
多言語対応のところが雑に作られてますが、なんとか日本語化が出来ます。
openSUSE-leap をベースにした版と、openSUSE(tw) をベースにした版があります。SUSE で tw のほうで試用しました。なので、Gecko も tw ベースの RR(rolling release 版)を試します。DE は Xfce としました。

試す事柄
これまでチェックした他のディストリと同じように、以下の3つの視点で使いやすいかどうか見たいと思います。
例によって、a. と b. が重点項目です。

Sec-1.インストール
Sec-2.インストール後、最初にやる事。最初に試す事柄
Sec-3.Windows 代替としての利用(ATW)
Sec-4.全般としての印象



Sec-1.インストール

 DE ごとにインストール ISO イメージがあります。主だった DE はありそうです。私は Xfce で試しました。
CUI インストールの ISO イメージはありません。なのでサーバ目的で Gecko の CUI 版が使いたければ、openSUSE(tw) で代用することになります。

Gecko のコミュニティは、ネットワーク環境があまり整っていない模様。更新のダウンロードは出来ますが、ダウンロード速度は遅いです。ネットインストールは出来ません。
いかにもマイナー集団のようです。

インストーラは Calamares を使っています。使いやすい。最近は Calamares を使うディストリが増えました。




Sec-2.インストール後、最初にやる事。最初に試す事柄

------------- 最初にやる事 -------------
 **まずアップデート**
SUSE や Gecko の場合は

# zypper refresh
# zypper dup ・・・これはdist-upgradeの略らしい  

だと思います。Gecko の場合、このアップデートが遅い!時間がかかります。
2020-11 上旬にやったら 1500 ほどのパッケージダウンロード。しかも速度が遅いので時間を要します。リビングに行ってコーヒーでも飲んでゆっくりする必要があります。三杯くらいコーヒーが飲めます(笑)。


 ーー以下、メニュー表示等の日本語化及び日本語入力ですーー
Gecko のウェブサイトを見ると Yast の言語設定から多言語対応する方法が書かれています。もちろん、それでできるのですが手順が多い気がします。つまり
*言語パックインストール
*Yast言語設定から、日本語指定とか UTF8 指定
*もう一度言語パックインストール
*その後、IM (fcitx-mozc 等)のインストールと設定
おおむね、こんな具合のようです。これでは手順が煩雑(多い)なので自分はロケール指定を使って設定しました。以下には、そっちの方法を書いています。
こっちの方がかえって面倒だと感じる場合は Gecko のウェブサイトを見て設定してください。

 **次に、表示の日本語化**
 これがまた、結構難儀(笑)
普通はロケールの指定をすれば、一発で反応するはずです。あのロシア製の ALT Linux ですら

$ localectl set-locale LANG=ja_JP.utf8

とかすると、メニュー表示なども一発で日本語化できます。でも、Gecko ではダメです。それでは日本語化できません。
やむなくロケール指定をマメにやりました。以下のかんじ。

##### in .bash_profile
export LANG=ja_JP.utf8
export LC_CTYPE="ja_JP.utf8"
export LC_NUMERIC="ja_JP.utf8"
export LC_TIME="ja_JP.utf8"
export LC_COLLATE="ja_JP.utf8"
export LC_MONETARY="ja_JP.utf8"
export LC_MESSAGES="ja_JP.utf8"
export LC_PAPER="ja_JP.utf8"
export LC_NAME="ja_JP.utf8"
export LC_ADDRESS="ja_JP.utf8"
export LC_TELEPHONE="ja_JP.utf8"
export LC_MEASUREMENT="ja_JP.utf8"
export LC_IDENTIFICATION="ja_JP.utf8"

なお、LC_ALL はいじりません。これを ja_JP.utf8 とかするといろいろとやっかいです。他のマシンからリモートログインしてきたときに変なことがおきます。こっちが他のマシンにログインしたときも、export したものを持って行ってしまうので、いろいろと具合が悪い(笑)。なので、LC_ALL は未定義のままとしました。
これを .bash_profile に書きましたが、それでも LANG だけは en_US になってしまいます。そのため .bashrc のなかでもう一度設定しました。

##### in .bashrc
export LANG=ja_JP.utf8

これで locale コマンドを確認すると全部日本語対応になります。さらに次のステップで、メニューが日本語表示化されます。


**三番目に、言語パッケージインストール**
 この段階になってようやく言語パッケージインストールです。どうもこの順番は結構大事なようです(笑)。
不思議なことに、この言語パッケージインストールの最終段階で、始めて ucode_intel ってのが入りました。カーネル再構築してるのが見て取れます。
例の sepctre-meltdown への対応です。なぜ最初の # zypper dup で入らなかったのか理解できません。が、これでちゃんと spectre-meltdown に全項目対応できますのでオケです。細かいことは言いません(笑)。

ようやくメニュー表示などがすべて日本語化できました。



**四番目に日本語入力を設定**
 今度は、日本語入力できるようにします。
Yast のパッケージインストーラで探したら fcitx-mozc がありました。良かった。これを入れます。関連で色々入れてくれます。
後々のために、fcitx-gtk2 と fcitx-qt5 も追加で入れておきました。gtk2 は sylpheed で日本語入力するときに必要です。これがないと sylpheed で日本語メールが打てない(表示は出来ますが)

インストールが無事に終了してリブートしても、fcitx-mozc が立ち上がりません。トホ、です。
「セッションと起動」を見てみると、ちゃんと fcitx が起動するようになっています(下の図)。
でも、実際には fcitx は立ち上がっていません(笑)。なんともまあ。

shot-03

そこでやむなく個別に指定して fcitx を立ち上げます。

######### .bash_profile に追加
export GTK_IM_MODULE=fcitx
export XMODIFIERS=@im=fcitx
export QT_IM_MODULE=fcitx
###
fcitx -d  > /dev/null 2>&1
###

定番の書き方です。.xprofile を使ってみましたが、そっちではダメでした。.bash_profile の方に書き足せばうまくいきます。
リブートしてみると、fcitx-mozc の表示が現れました。ctrl + space で IM が起動して問題なく日本語入力できます。

shot-01

shot-02

fcitx -d の後ろの記述は UNIX 系 OS でよくある記述。これを入れておかないと、他のマシンから ssh などでリモートログインしたときに「fcitx はもう動いてるだろ! 2つは起動しなくて良いだろ!」ってエラーメッセージが現れます。うっとおしいのでこのメッセージを消します(笑)。

以上でインストール直後の最初の設定、日本語化が完了です。


 とりあえず、なんとかなりました。他にもっと良い方法があるかもしれません。興味があればチャレンジしてみてください。
SUSE だと最初から日本語対応出来ているので、上記のことは何もしなくても良いです。その点ではこっちの Gecko の方が不便です。
libreoffice はデフォルトのままでは英語メニューです。libreoffice-l10n-ja だったか、そんなようなものを入れれば日本語メニュになります。
Gimp もデフォルトでインストールしただけだと、英語メニューです。Gimp インストール後に、再び言語パッケージインストールをやると、日本語メニューになります。
こんな感じで、日本語対応はちょいと手間がかかります。



------------ 最初に試す事柄 ------------------
 アップデートと日本語対応が出来たら、いつものチェック項目です。
 例によって普通の UNIX マシンらしく管理・設定ができるか、以下の項目を試しましたが、全部問題なしです。
各種コンパイルのために入れる必要のあるパッケージについては、Chap-7. の SUSE(tw) のところを見てください。
コンパイルのやり方も基本的に SUSE と同じです。

基本的に、すべて問題なしです。Debian や opsnSUSE(tw) と同様の管理です。
SUSE でもそうでしたが、Gecko もシリアル回線の番号が普通じゃないです(笑)。
私の場合、PCIe にシリアル回線増設のボードを刺しています。そのボードのシリアル回線の番号が、ちょっとおもしろい。
Debian、CentOS、Ubuntu系、Manjaro、Mageia、Fedora 等でやると /dev/ttyS0 と /dev/ttyS1 になるところが、なぜか /dev/ttyS4 と /dev/ttyS5 になりました(^^)。多分、使っているハードに応じて柔軟に番号をふってるんだと思います。なので、使う機器に応じて、その都度違うかもしれません。
これは多分、SUSE と Gecko だけの特徴(笑)。
だからと言って、何も問題はありません。シリアル回線からのルータ制御も快調です。
日本語化に多少の手間はかかりますが、このセクションは基本的に問題ありません。




Sec-3.Windows 代替としての利用(ATW)

 このセクションはあまり書くことがありませんが、特徴を並べてみます。

 ネットの評価では「SUSEがデフォルトでは入っていいないものが Gecko には入っている」とか「SUSE Gecko の関係は Ubuntu Mint の関係と同じだ」とか書かれています。そこが評価されているようです。
しかし、デフォルトで DVD が視聴できる MX、Mint、Mageia、Manjaro、ArcoLinux、EndeavourOS 等とは違います。きっと、ひと工夫必要(笑)。

**プリンタ設定**
 基本的に SUSE と同じやり方です。SUSE のチャプタで細かく書かなかったので、こっちで少し細かく書きます。
使う複合機(プリンタ)は Epson-PX-048A。いわゆるお値打ち品、つまり安くてそれなりに使いやすい機器です。
設定の方法は概ね二通り。

ーー第一の方法ーー
 エプソンサイトから rpm のパッケージを直接インストール、または、ダウンロードしてインストールします。
その後、プリンタ設定は yast を使います。
割合と簡単に設定できますが、SUSE の場合は postfix のパッケージが入っていないとプリンタが動きません。SUSE ではデフォルトでインストールされています。Gecko ではこっちのやり方は試していませんが、postrix パッケージをインストールすれば、SUSE 同様にできるだろうと思います。

ーー第二の方法ーー
 最初に cups-devel をインストールしておけば、あとは基本的に Manjaro, AcroLinux と同様のやり方でいけます。
ドライバーをコンパイル・インストールし、プリンタ設定は普通の DE 付属の「印刷設定ツール」でやります。
こっちの方法だと、ディストリの postfix パッケージが入っていなくても、プリンタが動きます。

一般的には、第一の方法がおすすめです。簡単です。
ただし、私のように、自分でサーバソフトをコンパイル・インストールしたい人は、第二のやり方のほうが制約がなくて良いと思います。自分でコンパイル・インストールするなら、ディストリの postfix パッケージは入れたくない、入っていたら削除したいです。
そんなわけで、Gecko では第二の方法しか試していません。もちろんうまくプリンタが動きます。

**スキャナ設定**
 Yast を使います。デフォルトではスキャナー設定のツールがインストールしてないので、まずそれを入れます。

# zypper in yast2-scanner

これであとは yast から設定すればオケです。デフォルトで入っているシンプル・スキャナでも、追加で xsane を入れても、スキャンできます。



こんな具合で、プリンターもスキャナも wifi につないだ Epson-PX-048A が使えます。このセクションも、何も問題ありません。





Sec-4.全般としての印象

 最初に、3つの視点で評価します。
   視点a. ・・・CUI インストールが無いので評価対象外。やるなら SUSE(tw) を使います。そっちはオケです。
   視点b. ・・・問題ないです。Geek 風に使うのも十分対応できそうです。各種コンパイル作業も簡単です。
   視点c. ・・・割合とたくさんのパッケージがあるようです。イケると思います。

*なぜだか、インストール時間が妙に短い。はやくインストールできます。その代わり、最初の更新がやたら長くかかる。
*リポも安定しているようですが、長期に渡るチェック(更新がうまく行くかどうか)は、やっていません。
*ダウンロード速度は、はっきり言って遅いです。
*openSUSE よりも、わずかながら見た目にきれいな印象です。全般的に描画が美しい。
*core i3-4160 なら、試用前に思っていたよりもずっと安定しています。
*残念ながら、AMD 3000 シリーズだとなんだか様子が変です。安定しません。SUSE Gecko とも、ちょっとおかしい。

 SUSEを最初に試したときは i3-4160 だけでやりました。こっちの Gecko も同じです。
両者とも調子良かったです。ノートパソコンに入れてリビングで2週間くらい使ってみましたが、快調でした。(SUSE, Gecko とも)
サーバルームで常用として使ってみようか、という気になるくらいでした。(SUSE Gecko とも)
ところが、AMD Ryzen 3400 G + B450マザボだと、なんだか安定しません。内蔵 GPU の Radeon を使っても、後付グラボ(Geforce)でも不安定です。プロプラ系のドライバを避けて、OSSのものにしても、やっぱり不安定です。
(この現象は、うちだけの話かもしれません)
使っている kernel は 5.9 系列です。
5.4 LTS にすれば変わるかもしれません。5.4LTS が選べるかもしれませんが、私はやり方を知りません。そもそも、戦意が喪失気味です。なんとなく・・・ SUSE や Gecko に対してやる気が無くなりました(笑)。
intel CPU だけで使っている方が(現状では)良さそうに思います。思い込みかもしれませんが、うちの主力 CPU は AMD なので私にはあいません。
ちょっと残念(汗)。
 なお、その AMD CPU + B450マザボの組み合わせですが、Debian、Manjaro、Mageia が問題なく動きます。したがって「SUSE、Gecko がうまく動かない原因がハード障害」ってことは無いと思います。
 Manjaro は 5.4lts kernel で使っています。Mageia は Cauldron で、同じ 5.9 系列(5.9.8)ですが快調です。

補足:2020-12
 Geckoでは再度試していませんが、SUSE 20201205 のスナップショットで試したところ、AMD3000 シリーズ CPU + B450 マザボで正常に動きました。問題はすでに解消しているようです。SUSE で大丈夫だったので、当然 Gecko でも大丈夫だと思います。