Chap-30. AlmaLinux を試用

 2020ー06 Redhatクローンです。試すのはバージョン 9.0 です。
これまでチェックした他のディストリと同じように、以下の3つの視点で使いやすいかどうか見てみました。
例によって、a. と b. が重点項目です。

Redhatクローンに対する世間一般の評価は、サーバ専用OSみたいな感じですが、Distrowatch 見てるとカテゴリーとしてはデスクトップもあります。
少し工夫すると(c) もイケそうです。

使用機器の関係から最近(2022時点)はデスクトップについては GNOME 一択の状態です。また、ver9.0 では Xfce の追加インストールが出来ないようです。なので二つの意味で他の DE は試さず、お試し DE は GNOME のみとします。


Sec-1.インストール
Sec-2.日本語入力の設定
Sec-3.インストール後、最初に試すこと
Sec-4.最初に試すこと
Sec-5.Windows 代替としての利用(ATW)
Sec-6.全般としての印象



Sec-1.インストール

 使うのは、メモリ8GB、SSD 120GBです。AMD-athlon-3000G +B450 マザボです。内臓 GPU 利用です。
最近のディストリはどれもグラフィックインストールがあり、やりやすいです。
このインストーラ(Anaconda)はCalamaresと並んで優秀なインストーラです。やりやすいし、ハードウェアへの対応も優れています。Ubuntu のUbiquity やDebianのインストーラではうまくインストール出来ないような、癖のあるノートPCへも、AnacondaやCalamaresだとインストールが成功しやすいです。
インストール作業そのものは簡単なので省略です。


インストール完了したら最初に、selinux の無効化と、リポの追加をしておきます。
私はselinuxの、屋上屋を架す考え方には否定的です。管理しづらい。
selinux の無効化は /etc/selinux/config の中で SELINUX=disabled としてリブートするだけです。
(注:SELINUXTYPE= のところは触らない。ここを間違えて書き込むと OS が立ち上がらなくなるそうです、汗)

 リポについては Fedora を追加しました。

------ (Fedora repo) -------
# dnf install epel-release
# nano /etc/yum.repos.d/epel.repo

「priority=10」を追記。


書き直した後
# dnf update



 修正後のソフトウェア(パッケージインストーラ)を見ると、修正前よりかなりソフトが増えていました。十分とは言えなくても、ありがたいことです。

 また、私の場合は自分で弄り回してセキュリティ対策するので、firewall-cmd の設定を変えておきます。これは、システムに備えられたセキュリティを極力利用する使い方ならやらない作業だと思います。私オリジナルのやり方(笑)

# firewall-cmd  --set-default-zone=trusted

これでファイアウォールの設定を何もしなくても他のマシンから sshログインできるようになります。LAN内使用なら、このまま。サーバなら自分のスクラッチな記述(かなり癖あり)でフィルタをかけます。

注:本当にスクラッチなマイ設定だけでいくつもりなら、firewalld 本体を止めてしまっても差し支え無いと思います。どうせ nftables のフロントエンドなんだし。

このセクションは8も9もほとんど変わりません。





Sec-2.日本語入力の設定

 ここは8と9でかなり違います。epel のリポを追加しても 9.0 では ibus-mozc がありません。インストールできません。
幸い、最近は ibus-anthy がかなり良いメンテ状態なのでそっちを使います。
となると説明不要と思います。

なお、ibus-anthy のキーボードショットカット変更方法は Chap-27. Sec-6. に書いてあります。タッチタイピングするならやった方が良いと思います。






Sec-3.インストール後、最初に試すこと

 2022ー06 Sec-3.Sec-4.は ver8 も ver9 も変わりありません。

 例によって普通のUNIXマシンらしく管理・設定ができるかを試します。
冒頭に書いたことのうち、主に a. b. 利用のためのチェックをやります。
で、試すことは以下のようなことです。

以下、順に書きます。




Sec-4.最初に試すこと 

IPアドレスとリゾルバ
 CUIインストールしていても、問題なくエディターで管理できます。オケです。
CUIインストールした場合、nmcli コマンドも問題なく使えます。


/etc/rc.local
 Debian と基本的に同じやり方でオケです。Chap-13. Sec-5. 見てください。


パケットフィルタ
 パケットフィルタはいささか癖があります。nftables を入れてみましたが、システム固有のもの(チェーン)が入っていて邪魔です。が、なかなかそれを消去できません。
OS が立ち上がった後で nft flush ruleset とするときれいに消えます。でも、立ち上がりで自動で消そうとすると厄介(汗)
最初、rc.local の中で、nft flush ruleset ってやってみたのですが、OSが立ち上がって見てみると、まだ固有のものが残ってる! しつこい!
やむなく、rc.local の中で nft flush ruleset ってやる前に sleep hoge ってスリープを入れました。hoge の秒数は適当ですが・・・
それで、ようやくシステム固有のものを自動消去出来ました。どうやら 8 秒くらい sleep すれば、消えます。
補足:2023-06 よく考えたら自分のオリジナルルールを使うので firewalld を止めればすむ話でした。firewalld は nftalbes のフロントなので自分でルールを書くなら止めても一向に構いません。firewalld を止めちゃえば8秒待つとかやらなくても済みます、笑。


デーモン管理
 Debian と基本的に同じです。Chap-13. Sec-7. 見てください。


DAT ドライブ
 普通に読み書き出来ます。問題なく USB-DAT72 ドライブが使えます。


シリアル回線
 cu コマンドはありません。このため taylor UUCP 1.07 のソースを持ってきてコンパイル・インストールすることになります。
インストールは簡単です。./configure、make、make install だけです。これで無事に cu コマンドが動きました。


apache、postfix、guile、lua のコンパイル
 Chap-7. を見てください。問題なくコンパイル出来ます。





Sec-5.Windows 代替としての利用(ATW)

2022ー06 Sec-5.も ver8 と ver9 でほとんど変わりありません。
 デフォルトのままだとパッケージは最小限ですが、私が使う程度のものはほぼ揃っているのでデスクトップ利用でもそれなりです。
Fedoraのリポを追加すると、まあまあなんとかイケます。
更に、Chap-31.に書いているように Flatpak を使ってパッケージを増やせば、格段にパッケージが増加します。かなり快適になります。

プリンター スキャナ
 プリンタは Chap-32. にまとめました。そちらを見てください。Wifi 経由で使えます。
Chp-32.の Sec-3. でも Sec-4. でもドライバ等のインストールができます。Sec-4. でいくときは以下のようにパッケージを追加します。

# dnf install cups-devel

開発ライブラリとヘッダです。
スキャナも Wifi 経由で使えます。xsane が相性良さそうです。


ブラウザ
 Firefox がデフォルトで入ってます。それほど新しいのでは無いですが、とりあえず普通に使えます。ただし、音楽番組(例えば accuradio とか)や動画(プライム)などは見られません。聞けません。
Flatpak から firefox を入れると調子良く動画などが視聴できます。
Google-Chrome も割合と簡単に入ります。これも調子良く動画が視聴できます。

google-chrome はgoogle サイトからダウンロードして、同時にインストールできます。(google chrome ダウンロード、で検索)

Flatpak 利用については Chap-31 に書いています。



メーラ
 AlmaLinux には Evolution というメーラが入っていますが、私の好みは sylpheed です。パッケージにはありません。
以下のサイト(本家)から sylpheed-3.7.0.tar.gz のソースをダウンロードしてコンパイル・インストールしました。

https://sylpheed.sraoss.jp/ja/

まず、gtk2-devel を以下のとおりインストール。

# dnf install gtk2-devel

またソースを展開した後の configure は

$ ./configure --prefix=hogehoge

なんて、いつものように適当にやりました。あとは普通に make, make install しただけ。
ただし、アイコンに結びつける登録のやり方を知りません。なのでホームディレクトリにシンボリックリンク貼っておいて、ファイルマネージャで開いてクリックします。
それで無事に動くので、一応オケです。


オフィス
 Libre-Office が使えます。全然問題なしです。


画像ソフト
 Gimp が使えます。問題なく動きます。十分良好です。


パッケージのアップデート
 GUI のソフトウェアでも、terminal から # dnf update とやっても、どっちでも大丈夫です。問題は無いです。


VLC の利用、市販DVDの再生
 Flatpak で vlc をインストールすると簡単に市販DVDが視聴出来ます。Flatpak の利用に付いては Chap-31. 参照です。





以上です





Sec-6.全般としての印象

 3つの視点で評価します。
   視点a. ・・・安定していて優秀です。問題ありません。
   視点b. ・・・こちらも優秀です。Geek 風に使うのも十分対応できそうです。各種コンパイル作業も簡単です。
   視点c. ・・・当初のパッケージソフトはすごく少ないですが、リポの追加等で快適になります。

 Chap-26-2. でいうカテゴリー1です。一番信頼度の高い分類。やや古めのバージョンを使いながら、Redhat社がパッケージの中身まで手をいれて、セキュリティフィックスやバクフィックスをしています。これがうまく機能していて、セキュリティ上も安定性でもとても優れた仕上がり具合・・・というのが世間一般の評価です。実際に使ってみても安定しています。
 また、CentOSベースで調べれば、ネット上の情報が使えます。レベルが高くて十分な情報があります。最近は AlmaLinux で検索しても色々出てくると思います。
セキュアで安定したディストリです。









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